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やる気が出ないときにすること

やる気が出ない原因と、やる気を待たずに始めるための小さなやり方、そして医療機関に相談したほうがよい目安をまとめました。

文:Startrチーム · 公開

要点

やる気が出ないときは、やる気がわいてくるのを待つより、2分で終わるくらいの小さな行動から始めるほうがうまくいきます。多くの人が経験しているように、やる気は動き出す前より、動き始めてから出てくることがよくあるからです。やる気が起きない原因として多いのは、睡眠不足や疲れ、何から手をつければいいかわからないこと、その作業がいやに感じられることです。ただし、何もやる気になれない状態や気分の落ち込みが2週間以上続くときは、うつ病などの可能性もあるので、医療機関に相談してください。

やる気が出ない原因

やる気が出ない原因は、多くの場合、体の状態か、やることの形のどちらかにあります。どちらに当てはまるかで、効く対処が変わります。

睡眠が足りない(眠い、頭がぼーっとする)

眠くて頭がぼーっとしているときにやる気が出ないのは、ごく自然なことです。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、睡眠不足が日中の眠気や疲労、注意力や判断力の低下などにつながると説明し、大人は6時間以上を目安に必要な睡眠時間をとるよう勧めています。同じガイドによると、2019年の国の調査では1日の平均睡眠時間が6時間未満の人が男性で37.5%、女性で40.6%いました。寝不足が続いているなら、気合いで動こうとする前に、まず眠る時間を確保するのが近道です。

疲れがたまっている(体がだるい)

忙しい日が続いたあとや、体がだるいときも、やる気は出にくくなります。この場合は休むことも立派な対処です。休んでもだるさが抜けない日が何週間も続くときは、体や心の不調が隠れていることもあるので、相談の目安を確認してください。

やることがはっきりしていない

「部屋をきれいにする」「勉強する」のように、やることがぼんやりしていると、何から始めればいいかを考えるところで止まってしまいます。頭の中で作業がどんどん大きく見えて、手をつける気が起きなくなります。

その作業がいやに感じられる

退屈な作業やむずかしい作業は、それだけで避けたくなります。先延ばしの研究をまとめたレビューでも、作業をいやだと感じる度合いは、先延ばしをもっとも強く予測する要因の一つでした(Steel, 2007)。人はそのいやな気分を早く消したくて、スマホや動画のようにすぐ気分がよくなるものへ手を伸ばしがちです(Sirois & Pychyl, 2013)。やる気がないように見えて、実際にはいやな気分から逃げている状態です。詳しくは先延ばしの原因と直し方で説明しています。

気分の落ち込みが続いている

何をしても楽しくない、好きだったことにも気力が湧かない、という状態が続いているなら、単にやる気の問題ではないかもしれません。このあとの受診の目安を読んでください。

やる気が出ないときにすること(今すぐできる7つのこと)

やる気が出ないときにまずすることは、やる作業を2分でできる大きさまで小さくして、とにかく手をつけることです。そのための具体的なやり方を、すぐ試せる順に並べました。

  1. 2分でできる最初の一歩を決める。「レポートを書く」なら「ファイルを開いて、タイトルだけ書く」のように、手を動かす様子が思い浮かぶ一文にします。
  2. 「2分だけ」と決めてタイマーをかける。2分たったらやめてもいいと自分に約束します。終わりが見えていると始めやすくなります。
  3. 作業の入口を整える。教科書を開いて机に置く、掃除機をコンセントにつなぐなど、始める直前の状態まで準備しておきます。
  4. スマホを別の部屋に置く。手の届く場所にあると、いやな気分になった瞬間に手が伸びます。
  5. 立ち上がって体を少し動かす。水を一杯飲む、窓を開ける、伸びをするだけでも、ぼんやりした状態から抜け出すきっかけになります。
  6. 始める時刻と場所を決める。「21時になったら、リビングのテーブルで問題集を開く」のように決めておきます。「もし〇〇になったら、△△する」という形の計画を立てた人は目標を達成しやすくなることが、94の研究をまとめた分析で示されています(Gollwitzer & Sheeran, 2006)。
  7. 眠いなら、まず休む。寝不足のときは、無理に始めるより休むほうが早く回復します。昼間に休むときは、夜の眠りを妨げないよう短めにしておきます。

やる気を出す方法は、先に小さく動くこと

やる気を出すいちばん確実な方法は、やる気が出る前に、ごく小さく動き始めることです。やる気が出ないときに「やる気が出たら始めよう」と待っていると、作業は頭の中で大きいままなので、いつまでもいやな気分が続きます。

ところが実際に手をつけると、作業は思っていたほど大変ではないとわかることが多く、少し進んだことで気分も軽くなります。手を動かしているうちに気分が乗ってくるこの感覚は、日本では「作業興奮」と呼ばれることもあります。大事なのは最初の一歩を、いやだと感じる暇もないほど小さくすることです。

2分で終わる一歩なら、やる気がほとんどない日でもできます。そして一歩を終えたあとは、続けてもいいし、そこでやめてもかまいません。やめていいと決めておくと、次の日もまた始めやすくなります。

場面別:2分でできる始め方

やる気が出ない場面ごとに、2分でできる入り方の例をまとめました。自分の状況に近いものを選んで、そのまま使ってみてください。

やる気が出ない場面2分でできる入り方
勉強教科書を開いて、今日やるページの最初の一行を読む。
試験勉強問題集を開いて、一問目の問題文だけ読む。
レポート・卒論ファイルを開いて、思いついた一文をそのまま書く。
仕事(資料作り)新しいファイルを作って、見出しを三つ書く。
仕事(メール)いちばん気が重いメールを開いて、宛名だけ書く。
掃除机の上のゴミを一つだけ捨てる。
片付け床に落ちている服を一枚だけたたむ。
洗濯洗濯機に洗濯物を入れて、スタートを押す。
料理鍋に水を入れて、火にかける。
運動運動着に着替えて、その場で軽く伸びをする。
英語の勉強単語帳を開いて、5語だけ声に出して読む。
書類の手続き必要な書類を一枚だけ探して、机の上に出す。

ぴったりの一歩が思いつかないときは、無料の最初の一歩ツールに作業を打ち込んでみてください。ページは英語ですが、日本語で入力でき、作業をいくつかに分けて2分でできる一歩を示します。勉強のやる気が出ないときは、英語のガイド「How to stop procrastinating on studying(勉強の先延ばし)」も参考になります。始めたあとに集中を保ちたいときはポモドーロタイマーが使えます。

毎日やる気が出ない、全くやる気が出ないとき(受診の目安)

何もやる気になれない状態や気分の落ち込みが2週間以上続き、普段の生活がつらくなっているときは、うつ病などの可能性があるので、医療機関に相談してください。ここで挙げるのは相談の目安で、自分で診断するためのものではありません。

厚生労働省の情報サイト「e-ヘルスネット」では、うつ病のこころの症状として「意欲低下(何もやる気になれない、普段は楽しめていたテレビや読書などが楽しめない)」と「抑うつ気分」を挙げ、体の症状として食欲の変化や「倦怠感(体がだるい)」などを挙げています。厚生労働省の若者向けサイトでは、気分の落ち込みか興味の喪失のどちらかを含む症状のうち、5つ以上が2週間以上続いていたら、専門家に相談することを勧めています。働く人向けのサイト「こころの耳」も、うつ病を、症状が2週間以上続いて以前のような生活が難しくなる状態と説明しています。

次のようなことが続いているときは、相談を考えてみてください。

  • ほとんど一日中、気分が沈んでいる。
  • 好きだったことにも興味がわかず、何をしても楽しくない。
  • 眠れない、または寝すぎてしまう。食欲が大きく変わった。
  • 体がだるく、疲れやすい状態が続いている。
  • 集中できず、物事を決められない。自分には価値がないと感じる。

相談先は、かかりつけの内科医でも、精神科や心療内科でもかまいません。e-ヘルスネットは、うつでやる気が出ないのはこころが弱いからでも甘えているからでもない、と書いています。消えてしまいたいと思うほどつらいときは、厚生労働省の「まもろうよ こころ」に電話やSNSの相談窓口がまとめられています(こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556 など)。

Startrでできること

Startrは、やる気がない日でも、ずっと先延ばしにしている一つのことに手をつけられるように作ったアプリです。やることを打ち込むと、AIが2分でできる最初の一歩を書き、まだ大きいと感じたら「Make it smaller」ボタンで小さくできます。始める時間と場所を選んでおくと、その時刻に3・2・1のカウントダウンがあり、一時停止できない5分のタイマーが動きます。終わったら10分延ばすか、その日はやめるかを選べます。夜には30秒で、始められたか、何がじゃましたかを振り返ります。できなかった日は空白として記録され、日数の表示は薄くなりますが、ゼロには戻りません。

アプリの画面は今のところ英語ですが、日本語で打ち込めば最初の一歩も日本語で返ってきます。Startrの流れは日本語トップページで紹介しています。

よくある質問

やる気が出ないのは甘えですか?

甘えと決めつける必要はありません。やる気が出ない背景には、睡眠不足や疲れ、作業がいやに感じられることなど、はっきりした理由があることがほとんどです。自分を責めると作業がさらに重くなるので、理由を一つ探して、それに合う小さな対処を試してみてください。

やる気が起きないとき、休むべきか、動くべきかの見分け方は?

眠気や体のだるさが強いときは、休むのが先です。体は元気なのに作業を前にすると気が重くなるときは、2分だけ動いてみるのが合っています。迷ったら2分だけ試し、それでも頭が働かなければ休む、と決めておくと判断しやすくなります。

朝、やる気が出ないときはどうすればいいですか?

起きてすぐに大きな作業を始めようとせず、前の晩に決めておいた2分の一歩だけを最初にします。前日のうちに机の上を整え、使うものを出しておくと、朝の迷いが減ります。朝のつらさが毎日続き、寝ても疲れが取れないときは、睡眠の質や体調も見直してください。

やる気が出ないのは何かの病気ですか?

多くの場合は睡眠や疲れ、作業の形が原因ですが、何もやる気になれない状態や気分の落ち込みが2週間以上続くときは、うつ病などの病気が関わっていることもあります。その場合は上の目安を参考に、医療機関に相談してください。

やる気がない日の一歩に

Startrは、やる気を待たずに始めるためのアプリです。先延ばしにしていることを打ち込むと、2分でできる最初の一歩が返ってきます。時間と場所を選ぶと、その時刻に3・2・1のカウントダウンで5分のタイマーが始まります。登録は不要で、Webアプリはスマホでもパソコンでも使えます。

最初の一歩をもらう

出典

  1. Steel, P. (2007). The nature of procrastination: A meta-analytic and theoretical review of quintessential self-regulatory failure. Psychological Bulletin, 133(1), 65–94. doi:10.1037/0033-2909.133.1.65
  2. Sirois, F. M. & Pychyl, T. A. (2013). Procrastination and the priority of short-term mood regulation: Consequences for future self. Social and Personality Psychology Compass, 7(2), 115–127. doi:10.1111/spc3.12011
  3. Gollwitzer, P. M. & Sheeran, P. (2006). Implementation intentions and goal achievement: A meta-analysis of effects and processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38, 69–119. doi:10.1016/S0065-2601(06)38002-1
  4. 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会(2024)「健康づくりのための睡眠ガイド2023」厚生労働省。 mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
  5. 西大輔「体の不調はうつ病でも現れます。かかりつけ医へ相談してみましょう」e-ヘルスネット、厚生労働省(2020年2月13日更新)。 kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-07-004.html
  6. 西大輔「「うつ」に気づいたときの対処法は?」e-ヘルスネット、厚生労働省(2020年2月6日更新)。 kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-04-001.html
  7. 厚生労働省「うつ病」こころもメンテしよう〜若者を支えるメンタルヘルスサイト〜。 mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_01.html
  8. 厚生労働省「うつ病の主な症状と原因」こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト。 kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad002/